近年、教育界やメディアでも大きな注目を集めている「非認知能力」。非認知能力は生きる力とも言われています。言葉だけ聞くとなにやら難しそうな響きですよね。
こちらの記事では非認知能力についての解説や非認知能力を高めるおすすめの遊び方を紹介していきます。
非認知能力とは?
非認知能力とは、簡単に言うと人生を豊かにするための力や生きるために必要な人間力のことを言います。
「非認知能力」は、「認知能力」と対比されるもので、「認知能力」がIQやテストの点など数値化できるのに対し「非認知能力」は数値化しにくい能力のことを言います。

非認知能力はEQとも言われているよ。
非認知能力とは具体的にどのような力?
非認知能力は次の4つの力に分けることが出来ます。
POINT①他者とうまく関わる力
②自分の感情をコントロールする力
③目標に向かって頑張る力
④困難を乗り越える力
乳幼児期にこうした非認知能力を育むことが、成長後の心の健全さや幸福感を高め、社会的・経済的効果を高めると考えられています。その効果はその時すぐにではなく後になって出てくることから「あと伸びする力」とも言われています。大切なことは目に見えにくいんですね。
なぜ非認知能力が大切なのか?
AI時代に突入し、これまでの暗記型の知識はあまり生きてこないとも言われています。

ググれば何でも出てくるし、計算だってコンピューターや電卓で、できてしまうもんね。
そうした中で非認知能力が注目され始めてきたのです。
また、学校や企業もただIQが高い人よりもコミュニケーション能力や人間力が高くお互いを高めていける社会性を持った人のほうが自分たちのコミュニティーに入ってもらいたいものです。
現に、企業が求める人物像の上位ほとんどが「意欲的である」や「コミュニケーション能力が高い」など非認知能力が高い人材を求めていることがうかがえます。
引用:https://news.mynavi.jp/
非認知能力が注目された背景
2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマン教授は、社会的成功にはIQや学力といった認知能力だけでなく、非認知能力が不可欠だと主張しています。この主張はペリー就学前実験の結果に基づいており、日本でも幼児教育が与える効果の参考として注目されています。
ペリー就学前実験とは
ペリー就学前実験では、アメリカのペリープレスクールで1962~1967年にかけて行われました。低所得のアフリカ系58世帯の就学前の子供を対象に午前中2時間半ずつ教室で授業を受けさせ、週に1度は教師が各家庭を訪問し、90分の指導を行いました。就学前教育の終了後、このプログラムを受けた子供と受けていない子供を40歳まで追跡調査しました。調査の結果、プロジェクトを受けた子供は受けていない子供と比較して犯罪率が低く、就職率や年収が高く、既婚率も高かったことが明らかになりました。プロジェクトを受けた子供は、当初IQと言われる学力も高かったが、その効果は次第に薄れ、4年もたつとすっかり消えてしまいました。しかし、非認知能力と言われる能力は高いままであったことが分かっています。この結果から、非認知能力を高めることが、豊かな人生を送ることに繋がっていくのではないかと考えられています。
2015年にはOECD(経済協力開発機構)が人のスキルを認知的スキルと非認知的スキルに整理してレポートし、ともに大切だと論じました。
ペンシルバニア大学の心理学者アンジェラ・リー・ダックワーズ教授が社会的に成功するには才能や知能指数(IQ)、学歴よりも欠かせない要素が「GRIT」だと提唱したのも話題になりました。「GRIT」はダックワーズ教授によると困難に挑む勇気、挫折からも立ち直る力、率先して取り組む力、物事に集中する力としており、マイケル・ジョーダンやスティーブ・ジョブズも身につけていたとものだと言われています。このGRITも非認知能力と同様の力だとされています。
非認知能力を高めるために重要なことは?
非認知能力を高めるために一番大切なことは、親などの身近な大人にに愛されて無条件に受け入れられるという経験を赤ちゃん時代からすることです。
身近な大人と基本的な信頼関係を築くことが何よりも重要とされています。具体的には子供が泣いたら抱っこしてあげたり、転んでしまったら「痛かったね」と共感してあげるなど。子供は自分の不安な気持ちを受け止めてくれる大人がいることで、自分の気持ちを立て直すことが出来ます。
非認知能力を育むために大切なことの2つ目が十分に遊ぶことです。
昔から子供は遊ぶことが仕事と言われているように子供は遊びを通して様々なことを学んでいきます。遊びは子供の健全な成長と発達のためになくてはならないものなのです。
脳科学の分野でも幼児期に十分に遊ばず、早期に知育に偏った詰込み型教育をしてしまうとその学習効果よりもマイナス面の方が多く出るという研究結果も報告されています。その位、遊ぶ時間を十分に取ってあげるこは、子供にとって大切なことなのです。
非認知能力を高めるおすすめ遊び
具体的にどんな遊びが非認知能力を高めるのか4つの遊びを紹介していきます。
自然遊び
五感を使い自然とかかわりあうことで知的好奇心を旺盛にし、感受性を豊かにしたり思考力を養います。
絵本の読み聞かせ
読み聞かせを通して親子で一緒に絵本を楽しむことで、自分が愛されているという信頼感が形成され、自尊心の確立にも繋がります。絵本を読むことで沢山の言葉に触れることが出来、想像力や語彙力が高まるとも言われています。
ごっこ遊び
おままごとやお店屋さんごっこなどのごっこ遊びをすることで創造力、コミュニケーション能力、表現力などを多くの能力を身につけることが出来ると言われています。
創造力
身近なものを何かに見立てて活用することで創造力を養うことができます。積み木をスマホに見立てて「もしもし~」と遊んだり、外で遊ぶおままごと遊びでは、土や石、草などを食材に見立てて料理したり創造力を働かせて遊ぶことに繋がります。
コミュニケーション能力
親や友達など遊び相手とのやり取りを通し、コミュニケーション能力を養うことに繋がります。相手の考えていることや気持ちを理解したり、役決めをするにあたっては、相手と折り合いをつける力なども身についていきます。
表現力
ヒーロー役になりきって「変身」などと表現するなど、ごっこ遊びでは、自分で作り上げた世界の中で自分の役を演じる必要があります。言葉での表現や行動、しぐさなど自分なりの世界を表現する力が身に付きます。
紐通し
大人は簡単にできる紐通しですが幼児期の子供にとっては、難しいものです。やり抜く力や集中力を養うのにおすすめの遊びです。はじめは大きめなものからチャレンジし、ストローやビーズなどの小さいものを通すチャレンジをすると良いでしょう。親子で一緒にチャレンジし、出来るようになったらたくさん誉めてあげることで、子供は自信がつき自己肯定感を高めることにも繋がります。
まとめ
様々な遊びを紹介しましたが、非認知能力を育むために一番大切なことは親子の信頼関係を築くことです。どんな自分でも受け止めてもらえるという安心感があることで子供は失敗してもまた、前を向いてチャレンジしていくことが出来ます。親としては、何か特別な事や教育をしなくてはならないのではないかと考えがちですが、非認知能力を高めるためには「遊び」が重要だと様々な研究で示されています。子供の非認知能力を育てるために、思う存分遊ばせてあげることや、遊びに集中できる環境を整えてあげることが大切なのではないでしょうか。
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